◆モータチュートリアル
ここではそれぞれのモータの特長を説明します。
当社では長年の経験を基に幅広いモータ関連の知識によりお客様をサポート致します。
◆高静圧ブロワーとは:
超高静圧ブロワーモーターは、圧縮空気やガスを高い圧力で供給するために使用される機器で、ブロワーは一般的にファンや送風機と呼ばれ空気やガスを吸引し高圧で放出する役割を果たします。高速回転する羽根車や送風機の形状により高い圧力を生み出します。これにより圧縮空気やガスを効率的に必要な場所に送ることができます。超高静圧ブロワーは、特に高い静圧力が必要なアプリケーションで使用されます。例えば、排気システムや通気システム、製造プロセスなど、圧力が必要な場所で使用されることがあります。超高静圧ブロワーは、工業や建築現場、環境管理などの様々な分野で使用されており、特定のアプリケーションに合わせてさまざまなタイプとサイズが提供されています。
◆DCモータ(ここではブラシモータ):
DCモータ(ブラシモータ)は直流電源(バッテリーなど)を使用し、回転する出力を生成します。DCモータは単純で扱いやすく、制御が比較的容易です。トルクと回転速度の制御が可能で、高い効率性と信頼性が特徴です。使用上は簡単ですが、性能はピンキリで数十円の価値のモノから信頼性の高い高級品までありますが、特にブラシと整流子には技術が詰まっており、高級品ゾーンにおいては巻線技術同様、簡単に新規参入を許さない市場であると言えます。
また、DCブラシレスモータを含めたDCモータにおいては、単体で使用するにはスピードが速くトルクも不足する為、ファンモータ、HDD等のドライブ用途、ポンプや振動モータを除き、単体で使用される事は非常にまれで、多くの場合は、減速機等のとの併用で使用される場合が多く、これらの周辺機器等の技術を併用しているメーカーに強みがでる傾向にあります。
1. DCコアドモータ:
- 特徴: コアドモータは、回転子として磁性体のコア(鉄心)を持ち、コアは複数の磁気性の材料(通常は鉄)から成りコイルが巻かれます。コアは回転子の中心に配置されており、コイルに電流が流れ、磁場を生成し回転します。コアドモータは高いトルク密度と高効率性を持ち、一般的に大きなトルクを発揮します。コギングが大きく、整流子-ブラシの切り替えによる逆起電力が大きい為、耐久性(寿命)に関してはあまり期待できない一方で非常に安価なモータであると言えます。
2. DCコアレスモータ:
- 特徴: コアレスモータは、回転子にコアがなく、巻線のみで形成されます。動作原理はフレミング左手の法則にしたがう様に巻線が形成され、このため、強力な磁石を必要としますが、コアレスモータは回転子に鉄心が無い為、軽量で慣性モーメントがかなり低くなります。そのため、高速回転やダイナミックな応答性が求められるアプリケーションに適しています。
◆ブラシレスDCモータ:
ブラシレスDCモータは直流モータの一種であり、ブラシと整流子の代わりに電子制御により回転します。ブラシの摩耗がないため、耐久性(寿命)が高く、ACモータと比較し効率性が向上します。ブラシレスモータは、大きく分けてアウターローターブラシレスモータとインナーローターブラシレスモータがあり、回転子(ロータ)とステータ(固定子)の配置によって特徴が異なります。インナーロータータイプ(特にスロットレス)では超高速回転を提供出来、アウターロータータイプでは高いトルクの設計が可能です。
また、その中でも面対向型、周対向型があり、これはコイルとマグネットがどう向き合っているかによりますが、面対向型はスロットレス特有のタイプで薄型の設計が可能になります。
1. アウターローターブラシレスモータ:
- 特徴: アウターロータブラシレスモータでは、ステータ(固定部)が内側にあり、ロータ(回転子)が外側に配置されます。ステータにはコイルがあり、電流が供給されることで磁場が形成されます。この磁場とロータの永久磁石との相互作用により、回転力が発生します。アウターローターモータは一般的に大きなトルクが可能で、高い出力密度と効率性を持つ特徴があります。
2. インナーローターブラシレスモータ:
- 特徴: インナーローターブラシレスモータでは、ステータ(固定部)が外側にあり、ロータ(回転子)が内側に配置されます。ステータにはコイルがあり、電流が供給されることで磁場が形成されます。ロータには永久磁石が組み込まれており、インナーローターモータは一般的に小型で軽量であり、高速回転や高い回転精度が可能です。また、モータの慣性モーメントが低いためダイナミックな応答性を持ちます。スロットレス(コアレス)タイプはインナーロータ―の一種であり、ステータに積層コアを持たない為コギングが発生せず、より高速回転が可能になります。
アウターローターブラシレスモーターとインナーローターブラシレスモータは、モータの外形や回転力の発生方法などに違いがあります。アウターローターモータは高いトルクを可能にし、大きな負荷に対して効果的です(例えばポンプ等)。一方インナーローターモーターは小型で軽量であり、高速回転と高い応答性を持つ利点があります。
◆ ACモータ:
ACモータは交流電源を使用し回転する出力を生成します。主に誘導モータ(インダクションモータ)と同期モータ(シンクロナスモータ)の2つのタイプがあります。ACモータは高い効率性と信頼性を持ち、幅広いアプリケーションに使用されます。
1. インダクションモータ:
- 原理: インダクションモータは、固定のコイル(ステータ)と回転子(ロータ)と呼ばれる導体群から構成されます。ステータに交流電源を供給することで、回転子に電流が誘起され、回転が生じます。
- 特徴: インダクションモータは非常に安価で一般的なACモータで、幅広い産業および家庭用途で使用されています。単純な構造でメンテナンスが少ない一方で速度制御が制約されることがあります。
2. シンクロナスモータ:
- 原理: シンクロナスモータは、回転子とステータの両方が磁化された状態で動作します。交流電源によってステータに磁場が形成され、回転子はこの磁場と同期して回転します。
- 特徴: シンクロナスモータは正確な速度制御が可能であり、定格周波数と同期して正確な速度で回転します。外部の制御回路やエンコーダーを使用して位置制御も行うことができます。高い効率性と大きなトルクを提供することができますが、起動時に外部の機械的な手段が必要な場合があります。主に産業用途や特定の制御要件があるアプリケーションで使用されます。
3. ACサーボモータ:
- 動作原理: ACサーボモータは交流電源を使用します。内部に制御回路が組み込まれており、フィードバックシステムによって位置や速度の制御が行われます。一般的にはブラシレスモータ(ブラシレスDCモータ)が使用されます。
- 制御特性: ACサーボモータは高いトルク密度とレスポンス性を持ち高精度な位置制御が可能です。位置検出用のエンコーダーやセンサーと組み合わせて使用され、制御系統からの指令に応じて位置や速度を精密に制御します。
シンクロナスモータとACサーボモータまたブラシレスモータ+エンコーダは似ていますが、シンクロナスモータは定格周波数と同期して回転し、速度制御と位置制御が可能です。一方、ACサーボモータは内部制御回路により高い精度で位置制御を行い、エンコーダーやセンサーと組み合わせて使用されます。ACサーボモータは、より高度な制御要件があるアプリケーションや産業用途で広く使用されています。
◆ ステッピングモータ:
ステッピングモータは、パルス信号によって一定角度ずつ回転するモータです。非常に正確な位置制御が可能で、角度や位置の精度が重要な場合に使用されます。以下がステッピングモータの種類と特長です。
1. VR(Variable Reluctance)ステッピングモータ:
- 特徴: VRステッピングモータは、回転子の磁気抵抗(磁気抵抗が変化するため「可変抵抗」と呼ばれる)によって動作します。回転子に磁場を形成するためのステータの磁極の位置によって、ステップごとに回転角が変化します。磁気回路が単純で低コストなモータですが、高速回転や高トルクを得るのは難しいモータです。
2. PM(Permanent Magnet)ステッピングモータ:
- 特徴: PMステッピングモータは、回転子に永久磁石が組み込まれています。ステータにはコイルがありコイルに流れる電流によって回転子に磁場が形成されます。磁場の相互作用によりステップごとに回転角が変化します。高トルクと高効率性を持ち精密な位置制御が可能です。
3. HYBRIDステッピングモータ:
- 特徴: HYBRIDステッピングモータは、VRステッピングモータとPMステッピングモータの特徴を組み合わせたものです。ステータには高磁気抵抗の歯と低磁気抵抗の歯が交互に配置されており、回転子には永久磁石が組み込まれています。この組み合わせにより、高トルクと高精度な位置制御が実現されます。
これらのステッピングモータは、デジタル制御による正確な位置制御が可能で、特に角度や位置の精度が重要なアプリケーションで使用されます。適切なステッピングモータの選択は、要件やアプリケーションに応じて行う必要があります。